2025.01.01

年頭のご挨拶

 皆様、新年明けましておめでとうございます。サナメディ代表の内田です。

 サナメディは本年4月から第14期を迎えます。本格的にメドテックインキュベーターとして稼動し始めてからは13年となります。これまで多くの医療イノベーションの創出に関わらせていただきました。成功したものもありますが、失敗したものもあります。そして、重要で当たり前の事実は失敗事例の方が圧倒的に多いということです。これは何もサナメディが関わった案件に限らず、多くのイノベーションのシーズは失敗に終わります。失敗にも関わって、最近感じるのは、日本は失敗に対する寛容性がとても低いという点です。「失敗は成功のもと」という言葉は誰でも知っていますが、失敗を極端に忌避する文化がこの国にはあると思います。米国では「Fail fast, fail cheap, fail smart.」というカルチャーが特にスタートアップシーンではよく浸透していると感じます。この言葉の裏にはスタートアップを創業して失敗したとしても、そこから学ぶものがあればよいのだという意味があります。ところが日本ではスタートアップが失敗しそうになると、途端に創業者は悪者扱いされ、能力が欠落しているという烙印を押されてしまうことが多いように思います。先日、米国のメドテック界有数のVC経営者が「スタートアップのCEOは経験値がとても重要。年代は40代~50代くらいがいいのではないか。一度スタートアップを経験していれば失敗していても成功していてもなお良い」と講演していました。日本では学生起業家がもてはやされます。これは悪いことではありません。ただ、前提として、経験値が少なく起業すれば、失敗の確率は高いこと。それでも支援して、失敗から学び、次に活かすという文化がなければ、片手落ちだと思います。これまで、支援してきたスタートアップがうまくいかなくなると、それまではほとんど活発でなかった取締役会がにわかに慌ただしくなるのをいくつか経験しました。責任の追及が始まり、経営者の報酬カットなどが提案されます。また、投資とは本来リスクを取って、その分アップサイドも取るメカニズムであるにも関わらず、スタートアップの経営が難しい局面で償還時期を迎えるVCがスタートアップの成長よりも自らの資金回収を優先させようとしていることも経験しました。ごく一部のVCに当てはまることですが、とても残念なことです。スタートアップのエコシステム醸成のためには、スタートアップサイドも投資家サイドも上手に失敗することがとても重要だと考えます。

 サナメディは失敗を回避するお手伝いをしています。今年も全力で様々なイノベーションを支援いたします。ただ、それでも失敗が避けられない時があります。その場合にはそれが明日の成功につながり、失敗が無駄にならないようにという観点にも十分配慮して参りたいと思います。

 本年もご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。

2025年元旦