2023.01.01

年頭のご挨拶

 皆様、新年明けましておめでとうございます。JOMDD代表の内田です。
 JOMDDはお陰様で昨年9月に設立10周年を迎えることができました。これまでの皆様の暖かいご支援に心より御礼申し上げます。

 私は循環器内科の臨床医としてキャリアをスタートさせ、2005年に米国食品医薬品局(FDA)に医療機器審査官として勤務。その後もBoston Scientific 米国本社勤務やシリコンバレーでスタートアップ向けのコンサルティング業務を行うなど、医療機器の仕事に長年従事していましたが、その中で抱いていた想いがありました。
 それは、「日本の医療機器産業はもっと強くなる。そのためにエコシステムが必要だ」というもので、それを実現するためにいつか日本医療機器開発機構という非営利団体を設立したいと考えていました。
 そんな矢先、東日本大地震が発生。当時住んでいた米国から被害状況を見る日々の中で、ぼんやり抱いていた使命感は確固たるものに変わり、福島での医療機器産業振興事業支援を担うことを当初の目的に2012年に会社を起業したのが弊社の始まりです。
 そして2014年に医療機器のインキュベーション事業第一号である、大動脈弁再建術に用いるサイザーセットの日米販売を実現。今ではシリコンバレーに設立した現地法人も活用しながら世界30カ国の患者さんを助ける製品へと成長しました。
 またサイザーセット以外にも、2017年の超音波ガイド下穿刺用ニードルガイド(True Puncture)の販売、2018年の国産初の腹部大動脈瘤ステントグラフトの開発、2020年の側弯症診断機器3Dバックスキャナー販売など、ポートフォリオも増加。知財も過去10年で国内特許の取得が10件、国際特許取得が42件になりました。
 また投資事業も拡大し、これまで12社に出資し、これらの企業が調達した資金額の総計が100億円を超えました。投資先にはマイナビ社にエグジットしたエクスメディオ社や、革新的な疼痛治療機器の上市に成功したP・マインド社も含まれ、投資資金は現在、時価総額ベースで3.65倍と堅調に成長しています。
 石倉大樹と小さなビルの一室で始めたビジネスでしたが、世界に約30人のスタッフを抱えるまでになりました。資金調達額約37億円という数字からも弊社のビジネスを社会から高く評価していただいていることを実感しています。


写真:東日本のオフィス初日の様子。エレベーターから出るとそのままオフィス

 勿論、これまでに多くの失敗も経験しました。特に初期の頃は、目利き、事業化力いずれにおいても、今よりもずっとナイーブだったと感じます。しかしながら、この10年で本当に多くのことを経験し、そこからとても多くのことを学びました。だからこそ、当初の未熟さがよくわかります。医療イノベーションの事業化には多くの時間と多くの資金がかかります。メドテックインキュベーターのビジネスモデルは、とてもキャピタルインテンシブ(要するに沢山のお金と時間が必要)なのです。この事は先行する海外の成功事例(UKのImperial Innovations)を見ても理解できます。そして時間とお金がかかるということは、それだけ多くのポイントをしっかり押さえて進まないとなかなか成功にはいたらないということです。
 これからのJOMDDの使命は、まさにこの10年で学んだことを、健康・医療イノベーションの具現化に活かすということであると強く感じています。2023年も社員一丸となって、この使命のために邁進いたします。

 どうか2023年が皆様にとっても、素晴らしい1年となりますことを心よりご祈念いたします。

 

2023年お正月
JOMDD代表取締役 内田 毅彦 拝