皆様、新年明けましておめでとうございます。JOMDD代表の内田です。
昨年の年頭のご挨拶では、2020年は夏に東京オリンピックを控え明るく前向きなムードが日本を包んでいると書きました。実際は、近来稀なパンデミックの一年となり、日本だけでなく世界が大いに苦しみました。その苦しみは2021年のお正月を迎えた今なお続いています。前回のスペイン風邪がおよそ100年前ですから、まさに100年に一度の出来事です。これに対して、予測や、備えというのは決して簡単ではありませんし、その対応にしても然りです。人類は常に進歩を訴求してきましたが、今回のこのCOVID-19パンデミックが10年前に起こったら、あるいは、50年前に起こったら、事態はもっと深刻だったでしょうか。それとも、あまり変わらなかったでしょうか。そんなことを考えながら年を越しました。
さて、「ゴーイング・コンサーン」という言葉があります。一般にはあまり聞きなれない言葉ですが、日本語では「継続企業の前提」などと訳されます。ゴーイング・コンサーンは企業等が将来にわたって存続するという前提であり、主には財務や会計の領域で用いられます¹。次の1年、会社が潰れるようなことはないか、そのために、足元の業績、資金繰り、社内外の問題点などを検討し、存続できるという前提が成り立っていることを確認することを指します。継続期間については1年だけとは限らず、さらに長く勘案することもあります。
JOMDDは今年で創業9年目、本格的にインキュベーション事業を開始してから8年目となります。私はある頃から、このゴーイング・コンサーンという言葉を強く意識してやってきました。私の場合、ゴーイング・コンサーンの期間というのは次の一年ではなく、もっとずっと先まで継続できるのかという意味で捉えています。「ゴーイング・コンサーン」という言葉は尊敬する起業家/経営者の大先輩から教わりました。創業間もない頃、この方にも資金調達をお願いするために会いにいきました。その際にこの方がしきりに「ゴーイング・コンサーンだよ。ゴーイング・コンサーン、大事なのはね。」と仰いました。その時の私は頭の中で、そもそも資金がないと起業もできないからお会いしてもらっているんだけどな。。。と思っていました。結局その方の経営する企業からの出資はありませんでしたが、それからしばらくして、私はあの時のその方のメッセージを、「長く存続できる会社を作りなさい。そのために何が必要かをよく考えること。」と捉えるようになりました。JOMDDが長く存続するための価値とは何なのか、どうすればそれを作っていけるのか。まだまだ試行錯誤を重ねています。他方、JOMDDは昨年10名の新入社員を迎え、益々活動が増しています。国内には稀有な医療イノベーション・インキュベーターとして、成功も失敗も経験しながら、確実に力をつけていると実感しています。2021年のゴーイング・コンサーンにも曇りはありません。小さなことからコツコツと積み上げて、この先も長きに渡り世の中に価値を提供できるように、JOMDDの仲間と力を合わせて、本年も頑張って参りたいと思います。
新型コロナウイルス問題がなかなか終息せず、ひっそりとしたお正月になりました。しかし、明けない夜はありません。一人一人ができることをしっかりと行って、この困難にも打ち勝つことができるでしょう。少しでも明るく、楽しく、希望を持って、本年が皆様にとっても素晴らしい一年になりますことを心からご祈念申し上げます。
2021年お正月
JOMDD代表取締役 内田 毅彦 拝
¹ 継続企業の前提,In Wikipedia: The Free Encyclopedia.
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%99%E7%B6%9A%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E5%89%8D%E6%8F%90 (accessible as of January 1, 2021)