2015.07.23

企業における広報の役割と重要性

皆さん、こんにちは。今回は「広報」の役割や重要性についてお話したいと思います。

1.広報とは

近年では、「広報は経営に不可欠だ」と言われるほど重要になり、あらゆる企業が広報を戦略的に取り入れています。企業における広報の役割はガバナンスと経営の透明性を保つことです。広報を通じて、その企業のあらゆる情報を社会へ発信し透明性を確保することは、社会からの信頼を得る上で最適な手段です。企業には色々な部門や担当の社員がいますが、個々が様々な情報を社外(社会)に発信してしまったり、伝わり方が異なったりしてしまうと、結果的に誤った情報が伝わってしまうことがあります。
企業の広報担当から発信する情報は、その企業の公式な情報やメッセージであり、社会との約束でもあります。そして、その公式に発信するメッセージを厳守することで、企業の信頼性や透明性を高めていくことに繋がっていきます。

2.時代とともに生きる広報

広報は、もともとはアメリカから入ってきた新しい概念で、Public Relations(パブリックリレーションズ)で、最近ではPRという言葉も浸透し、最近の企業には必ず担当者がいるほどです。広報を直訳すると「社会の人々との関係」で、この「関係」とは「良好な関係」、つまり「信頼関係」という意味です。

広報(PR)が日本へ広まった歴史は、比較的新しいといわれています。第二次世界大戦後に、GHQが日本に民主主義を根付かせることを目的として、GHQが主に行政を対象として取り入れ、次第に民間企業へ普及したと言われています。その後、今日のIR(インベストメント・リレーションズ)につながった証券業界や社内広報等が、広告と並行してPRビジネスの普及に取組んだ電通などにより、PRが民間企業に広まりました。

その後、高度成長時代(1960年代頃)には、商品やサービスを売り出すための販売促進としての主な活動が広報という位置づけになりました。しかし、その後1970年代に公害問題やオイル・ショックなどがあり「大企業性悪説」が広まってしまい、企業が社会からの信頼を失っていきます。その危機を脱するために、企業は営利活動だけではなく「社会の一員」としての責任を果たさなければならないという考えにより、「社会との良好な関係」を回復するための広報活動が求められるようになりました。

日本ではバブル経済崩壊、世界経済においてはグローバル化が進み、またインターネットの普及と拡大により、情報が瞬時に世界中に伝わる時代が到来し経済環境が大きく変化しました。2000年代には企業の不祥事が相次ぎ、広報の責任や役割が重要視されるようになりました。
かつて広報の主な対象はマスコミが中心でしたが、時代とともに、その対象は、株主・投資家、従業員、地域住民、消費者等のあらゆるステークホルダーへと広がっていきました。広報活動の内容も、IRや環境・社会貢献など多岐にわたり、企業活動がサスティナブル(持続的な発展)となるような戦略的広報へと変革していきます。

近年では、インターネットは勿論のことSNS等ソーシャルメディアの発達により、迅速性も求められ、自社に直接関係しない利害関係者以外のステークホルダーを含む「社会全体」とのコミュニケーションやエンゲージメントといった幅広い「信頼」を得ることが広報活動に求められています。
また、従来、広報は社外的活動が中心でしたが、社内広報の重要性も高まり、今日では、コーポレート・ブランド価値を向上させるための統一された「コーポレート・コミュニケーション」として、企業価値向上のための情報発信をも担っています。

3.プレス・リリースの役割

最近ではデジタル化が進みWEBサイトやSNSの発達により、情報発信に力を入れる企業が多くなりました。ニュースサイトや情報サイト等の媒体への掲載が目的であるプレス・リリースは企業にとって大変重要な役割でもあります。
媒体に記事として掲載され、媒体に取り上げてもらうことができると、広告のように高額な費用を掛けずに企業アピールを無料でしてもらえるメリットがあります。また、掲載は広告欄ではなく記事として取り上げられるため、掲載されることによって、より多くの人々の目に触れ、周知されることで、企業や事業の信頼度が高まり大きな効果が得られます。
しかし、デメリットもあります。書いてほしいことを書いてもらえない、ネガティブな情報、意図しない内容を書かれてしまう可能性もあります。そのため、広報はニュース・リリースとプレス・リリースを戦略的に行うことも重要になってきています。

最近ではWebマーケティングが盛んになっているため、ニュース・リリースとプレス・リリースを同じ意味合いで「プレス・リリース」と呼ばれることも多くなってきました。しかし、厳密には、ニュース・リリースとプレス・リリースは意味合いが違います。
ニュース・リリースは、情報をあらゆるステークホルダーやエンドユーザーへ直接届けることを目的として企業が様々なニュースを発信すること、そしてプレス・リリースは、プレス(記者など)、つまりマスコミや報道関係者向けに企業の情報を届けるという意味があります。
プレス・リリースは上記のようなメリットとデメリットがあるため、ニュース・リリースとプレス・リリースをバランスよく上手にコントロールしながら企業価値を高めるための情報発信が戦略的広報の課題となっています。

4.これから期待される広報力

最近、大手老舗メーカーにおいて会計上の不祥事により社会へ多大な影響を与え、長い歳月を費やして築いてきた信頼を失いました。
企業が優れた事業活動を構築していくためには、単に利益を追求するのでなく、地球環境や社会経済システムの視点からも持続可能な世の中にしていかなければなりません。また、グローバル企業としてビジネスを行うには、国・地域・NGOなどをはじめ、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を築き、協調していくことも重要です。近年、国連やISOなどからはビジネスと人権・労働・環境・腐敗防止などに関する基準や枠組みが発行され、世界ではCSR(企業の社会的責任)の重要性も高まっています。EU諸国においてはCSRに関する重要政策が打ち出されるなどの新しい動きもあり、各企業の広報力が更に期待されています。

JOMDDにおける広報は、サステナブルな経営を実現するために事業運営の継続性を担保するだけではなく、経営や事業活動の質の向上に繋がるよう、地域社会とともに成長し、「いかに社会の課題を解決できるのか」を追求し、よりよいコミュニケーションができるよう務めて参りたく思います。企業理念である「患者さんのため」に、強く深い信頼関係を築く広報を目指します。