2014.12.08

医療系アプリ開発者必見!専門家が解説する「医療機器プログラムとは?」

皆さん、こんにちは。薬事・品質保証担当の村上です。
12月に入り、今年も残すところわずかとなりました。また、ここにきて一段と寒さも増し、例年より早くインフルエンザも流行し始めております。くれぐれも体調には気を付けて参りましょう。

さて、ここ最近の冷え込みとは逆行する形で今この業界で一番ホットな話題と言えば、やはり医薬品医療機器等法が施行されたことですね。先日の施行に合わせ、連日関連する通知等が多く発出されております。しばらくは法改正への対応で皆さんも忙しく過ごされることになるのではないかと思います。
対応すべきことを思い浮かべただけでも、QMSへの対応、製造業の登録申請、クラスⅣ医療機器の添付文書の届出、承認・認証申請書の記載整備、プログラム医療機器の対応などなど。(ホントに多いですね)。その中には経過措置も定められており、その多くは届出や申請などの対応を3か月以内に行うこととされております。

今回は、その中でプログラム医療機器に注目してみようと思います。皆さんもご承知のとおり、医薬品医療機器等法の施行前までは、プログラムそのものは医療機器として規定されておりませんでした。これは医療機器が有体物であるという前提があるためで、ソフトウェアは有体物であるハードウェアに組み込まれてはじめ医療機器としての規制されておりました。しかし、今回これが改められ、欧米各国と同様にプログラム自体が医療機器として規制されることになりました。プログラム医療機器の取扱いや具体例については、先日発出された「医療機器プログラムの取扱いについて」(平成26年11月21日 薬食機参発1121第33号/薬食安発1121第1号/薬食監麻発1121第29号)、「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」(平成26年11月14日 薬食監麻発1114第5号)や「医療機器プログラムの取扱いに関するQ&Aについて」(平成26年11月25日 事務連絡)において示されました。ただ、実際に取扱うプログラムは、ここで示されている例示と異なる場合もありますので、医療機器に該当する・しないのかについては、各プログラムの特性に応じて判断されますし、特に医療機器を取扱ったことがない企業の方が新たに参入される場合は、慎重な対応が求められることになります。

また、現時点で医療機器プログラムを取扱っている企業においても、経過措置期間中に次の対応が必要となりますので、計画的に進めていきたいところですね。
以下にメモ書き程度ですが、医療機器プログラムを取り扱うにあたって注意すべき点を挙げてみましたので、ぜひご一読いただければと思います。

医療機器業界全体から見た医療機器プログラムの位置付けについては、このスライドショー(IoT時代到来における「薬事法」)で非常にわかりやすくまとめられていますので合わせて御覧ください。
薬事法から医薬品医療機器等法への改正についての専門的な内容についてはこちらのページ(薬事法から医薬品医療機器等法への改正点(医療機器・体外診断用医薬品を中心に))で簡潔にまとめられております。


1. 製造販売業の許可申請

・ 第一種医療機器製造販売業・・・・・高度管理医療機器に該当する医療機器プログラム等(医療機器プログラムを記録した記録媒体を含む)を製造販売する場合
・ 第二種医療機器製造販売業・・・・・管理医療機器に該当する医療機器プログラム等(医療機器プログラムを記録した記録媒体を含む)を製造販売する場合

2. 製造業の登録
設計・・・・・ 医療機器プログラムの場合
設計、国内における最終保管・・・・・ 医療機器プログラムを記録した記録媒体たる医療機器の場合

3. 承認申請
新基本要件基準への適用として、経過措置が定められたものの、ソフトウェアライフサイクルプロセス(JIS C6950-1又はIEC 62304)への適合が求められていることに注意!

4. 販売業又は貸与業の許可申請(又は届出)
・ 販売業又は貸与業許可申請・・・・・高度管理医療機器に該当する医療機器プログラム等(医療機器プログラムを記録した記録媒体を含む)を販売、授与、若しくは貸与、若しくは販売、授与、若しくは貸与の目的で陳列、又は電気通信回線を通じて提供する場合
・ 販売業又は貸与業の届出 ・・・・・管理医療機器に該当する医療機器プログラム等(医療機器プログラムを記録した記録媒体を含む)を販売、授与、若しくは貸与、若しくは販売、授与、若しくは貸与の目的で陳列、又は電気通信回線を通じて提供する場合

また、インターネットモール等を通じて医療機器プログラムを提供する場合は、次の情報を表示する必要です。
① 販売業者の氏名又は名称及び住所
② 電話番号その他連絡先
③ その他必要な事項
・ 営業所の所在地(少なくとも一か所を記載)
・ 許可番号又は届出番号

4. 法定表示
(1) 記録媒体ありの場合
① 記録媒体又は記録媒体の直接の容器若しくは被包に法定表示を記載。
② 医療機器プログラムの使用者が容易に閲覧できる方法で、法定表示を記録した電磁的記録を記録、又は記録媒体とともに電磁的記録を提供する
(2) 電気通信回線を通じて提供する場合
① 医療機器プログラムの販売業者:
医療機器プログラムの使用者が電気通信回線を通じて医療機器プログラムの提供を受ける前に法定表示に関する情報を提供する
② 医療機器プログラムの製造販売業者:
医療機器プログラムの使用者が容易に閲覧できる方法で、法定表示に関する情報を記録した電磁的記録を医療機器プログラムとともに提供する

5. 添付文書
医療機器プログラム等の使用者が容易に閲覧できる方法で、添付文書に記載する事項を記録した電磁的記録を医療機器プログラム等とともに提供する場合:添付文書等記載事項を記載した文書等の添付は不要


医療機器プログラムだけでも見ても注意を要することが多くありますね(不具合報告や回収もあるのでご注意ください!)。国際整合が図られてきたとは言っても、日本では新たな取り組みになりますので、今後も関連する通知などには眼が離せない状況です。

そして最後に一言。この医療機器産業は政府の成長戦略の一つとして位置づけられております。前回の薬事法改正と比較して、今回の法改正は法案の可決、改正法の施行までが異例の早さで進んでおります。これはこの産業又は日本の医療技術に対する期待の高さの表れだと思います。今回の法改正への対応では、企業だけでなく、行政もご苦労される場面が多くなるのではないかと思いますが、ここでの苦労をチャンスと捉え、産官と共に学とも連携・協力し、医療機器産業の成長が今後の日本の躍進に繋がるようがんばっていきましょう!

それではまた次回。